福岡県の片田舎、柳川市で営んでおります小宮仏壇店です。創業明治二年などと冠していますが、ただの細々とした個人事業です。個人事業で何代も何もないとは思いますが、初代治三郎が隣町の新船津町で創業し、二代目利吉、三代目朝男(本船津町に移転)、四代目武司を経て、私で五代目となります。屋号に店とありますが、代々職人業が生業です。
私自身家業に就くつもりもなく社会人になりサラリーマン生活をしておりましたが、子供の頃から家の仕事を手伝うことがあったせいか家業というものが常に頭の隅に残っておりました。所詮は肉体労働。二十代半ばを過ぎ前職の分岐点が見えたタイミングで思い切って転職を選びました。子供の頃は嫌々ながら手伝ってましたが不思議なものです。
転職当時は、数十年後の結果を想像し、非効率的にならざるを得ない仕事に戸惑いもありましたが、今ではそのことがこの仕事を続ける上での誠実さではないかと感じております。
とはいえ、何代にも渡って家を守るという時代ではございません。数十年後を考える必要がない、後々仏壇も処分するという気持ちがある場合は、部分的な塗替えや、必要最低限の材料・手法での修復をおすすめしております。また、長年受け継いでこられたお仏壇の蒔絵や彫刻などを、記憶として新たな形(額装や小型衝立等)で残すことをご提案させていただいたりと、今まで向き合ってこられた時間を大切にしていただくお手伝いをさせていただいております。
主な業務は金仏壇の新調、塗替えです。
仏壇塗装に関する下地〜上塗り、箔押し、組立完成に至るまでの工程はもちろん、塗替えの必要がない場合は煤抜き洗濯と呼ばれる金仏壇の分解洗浄、また、仏具以外の多様な素材への漆塗り、短納期に対応可能なカシュー系塗装も要件に応じてご提案させていただいております。社寺彩色に関しては、アクリルではなく水干顔料での彩色をメインに行っております。
また、茶室等の数寄屋改築などで古材と新材の色味を合わせる古色付け、現場での漆塗りなども御依頼いただいております。
家業従事からほどなく、90年代後半に小宮仏壇店のWebサイトを作りました。当時は漆や仏壇のサイトなど無い時代でしたので、物珍しさから新聞雑誌に取り上げていただき、有り難いことに多くの皆様にご相談をいただきました。ただ、サイトを作った目的が、付加価値や差別化のためというよりも、作業工程などを聞かれた際の説明をわかりやすくするためで、永らく放置しておりました。
2013年、寺院欄間彩色の仕事をご依頼いただき、作業工程をご門徒の皆様にもご覧いただけるよう新たに再構築した次第です。過去のページは漆や仏壇についての予備知識として、分離して残すことにしました。漆の歴史にはじまり、漆塗りの工程、漆と樹脂塗料、仏壇の起源など、一通りまとめています。
旧 小宮仏壇店サイト: https://komiyabutsudan.com/index-old.html
作業中や現場出張の際は電話に出れないことが多いのでメールにてお問い合わせいただけたら幸いです。 info@komiyabutsudan.com