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![]() 漆の木は、主に東洋に広く分布する樹木で、その樹液は漆の木が生み出す 天然エマルション(乳化液)です。 樹幹の樹液溝に傷を付け、染み出す樹液を採取したもので、取りたての漆を「荒味漆」と言う。 |
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採取作業は「漆かき」と言い、同じ樹から何度も傷をつけ採取するのですが、
傷の付け方にも法則があり、その採取順によって荒味漆にも様々な呼称があります。
漆は、ウルシオール・ゴム質・酵素・含窒素物から組成され、
この中の酵素の作用で硬化します。酵素(ラッカーゼ)は水分により酸化促進するので、
漆の乾燥には高湿度が必要不可欠なわけです。乾燥後はゴム質の膜を持ったウルシオール重合体が
粒子構造となって、高光沢・高耐久性を生みだします。
漆の種類 ![]() 「漆かき」で採取した漆は加工精製され塗装用となり、その種類は「生漆」「黒漆」「透漆」に 大別され、さらに分類すると十数種となります。 その他、季節の湿度変化に対応するために早口・遅口・不乾燥など数種あるが、 それぞれの地域気候や、その日その日の天候に合わせて独自に再調合するのが通常です。 粘性が高い漆は、その性質を利用して潤いのある表面ができるわけですが、 塗りに時間がかかり塗ることが困難なぐらい粘性が高くなったら、 樟脳油(しょうのうゆ)を希釈剤として使います。 樟脳油とはクスノキを原料とした油です。 漆は、耐薬品性・耐熱性・耐酸性・耐水性に非常に優れ、なおかつ光沢を保持することのできる 最強の屋内塗料と言えるでしょう。 漆特有の「漆かぶれ」とはアレルギー性皮膚炎のことで、人体のタンパク質と漆のウルシオールとが 化学変化を起こして生じるものなので、免疫は存在しないと言われている。 漆職人で漆にかぶれたという話は聞いたことがないので継続作業により抵抗力がつくということでしょう。 漆の類似塗料-カシュー樹脂塗料とは ![]() 熱帯性漆科植物であるカシュー樹の実から採取した油状物質(カシューナットシェルオイル)が原料。 カシューナットシェルオイルそのものは不乾燥物質なので、これを化学加工し乾燥性を持たせたものが カシュー樹脂塗料となります。 カシュー樹脂塗料は漆と非常に似ているため漆の代用品として使われることがあるが、 漆とはその耐久性や耐薬品性において劣る。主成分のカルダノールが漆の主成分ウルシオールに 類似するため仕上がりも似るわけですが、年月を経ると塗装面が白く曇ったようになる。 樹脂の持つ油分が表面に浮いてくるためだと考えられるのですが、 そのまま放っておくと曇ったまま沈着してしまい、微粒子コンパウンドなどで磨かないと とれないようになります。とは言え、塗装後1年程度だと素人には漆と見分けがつかないでしょう。 漆の色は、透・黒・朱と主に3種なのですが、カシューには数十種とゆう基本色があり、 混ぜて様々な色を出すことも可能です。またカシューシンナーを希釈剤として使うので扱いやすく、 吹き付け塗装も容易なので、用途の幅は広いと言えます。 乾燥は漆のように湿度を必要としないので自然乾燥させます。 |