仕込壇と直宮殿の塗替え

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家屋建て替えにより、これまでの仏壇をどうしたものかとのご相談。

一間半の仏間。仕込壇に直宮殿の構成。
仕込壇(仕込仏壇)とは、仏間自体を仏壇内部と同じような組み方で構成する作り方。(寺院の場合は、仏壇的な組み方ではなく須弥壇などの壇は別体になっている)
仕込壇の良いところは、いわゆる造り付けなので、仏間内の一体感があり広く使えるところ。逆に悪い点は、今回のように建て替えなどで仏間を新しくする場合、仕込壇の寸法を優先して建築設計してもらうしかないところ。(ものによっては左右を詰めたりできなくはないが、今回の仕込壇はせいぜい1寸程度)

いままでのものを使いたいとの希望と、限られた予算とスペース。仏間に一間半も取れないとの事(当然です)。仕込壇の部分は使わず、宮殿のみを使うことに。

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宮殿屋根に大きな箔落ちは無く、枡組や垂木は洗うだけで良さげ。

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新たな仏間は、宮殿幅に合わせて設計してもらい、仕込壇が担っていた宮殿下の須弥壇は新たに製作。箱須弥(箱型須弥壇)にする。

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継ぎ目は、金具有りであれば和紙で済ませますが、金具無しの場合は寒冷紗を。

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箱須弥壇、出来上がり。

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宮殿も出来上がり。彫刻や枡組、垂木は洗いのみ。彫刻や枡組などの細部の箔押し替えは、手間がかかる割に見栄え効果が薄い。柱や虹梁、破風や向壁などの平面部分は仕上がりが目に付きやすいので、塗替えて箔押し直したほうが効果が高い。

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新築の仏間に収まる。
建て替えや引っ越しを機会に今まで使ってきたものを新しくするのも気持ちが良いですが、仏壇は家電などと違い、今まで向き合ってきた時間があります。かと言って、想いを大切にしたくとも、現状の住宅事情にそのまま使うにはサイズ的にも予算的にも現実的でない場合も多い。仏壇は単なる箱なので古い新しいは関係無い、という理屈もわかりますが、そう簡単に割り切れないものまた人情。折り合いの付け所。
今回、仏壇の核となる宮殿を残すことで、これまで向き合ってきた時間を選択していただきました。また積み重ねていただけたら幸いです。

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