箔押し体験

ご家族で観光ついでに箔押し体験に足を運んでいただきました。

彫刻の箔押しを体験してもらおうかと思っていましたが、参加者が増えたので急遽パネルを仕上げて、箔押しの花形「板押し(平面への箔押し・平押し)」に変更しました。

彫刻などの小物は、箔液(金箔の接着剤)を塗って細切れの金箔を貼るだけなので、箔箸(金箔を扱う際の竹製のピンセットみたいなもの)を使うにも簡単。仕上がりも誰がやってもほとんど差がない。対して板押しは金箔1枚をそのまま扱うので難易度は上がる。なにより平面の場合は箔液の拭き上げ具合が仕上がりに直結するので、この作業が最も重要とも言えます。拭き上げ過ぎれば箔切れ(箔が十分に接着しない)を起こし、拭き上げが悪いとシワが残ったり重なったりムラになったり…と、とにかく仕上がりが悪くなります。

注:漆で箔押す場合は、拭き上げの待機時間が必要かつ仕上がった後に3日ほど室(ムロ)で硬化させるので、今回は自然乾燥する代用漆の箔押液を使いました。

初めての方のよくある失敗で、箔を持ち上げたままグズグズしてる間に風圧でくっついちゃって失敗!もしくは箔紙から破れ落ちて失敗!というのがあるあるなのですが、皆さん思い切りが良くて残念…いや上手。

押し忘れのチェックに余念がない。綿で押した後の補修は目立つので肝心です。

最初の箔液の拭き上げ具合が適切であれば、ワタで押し払えば概ねキレイに仕上がる。とはいえ、力を入れすぎると箔が擦れますし、入れなさすぎるとシワ部分の接着が甘かったりする。優しく優しくGently wipes。

箔足(箔の継ぎ目)もキレイに揃ってバッチリ!我が狭っ苦しい箔押ルーム過去最高の観客動員数。床抜けなくてよかった。

実は最初にお手本として箔押しの実演をしたのですが、思いっきりズレる…。箔足を揃えるのが平押しの技術でもあるのですが、のっけから失態!普段小さい平面に押すことないからと言い訳を繰り返しながら、皆さんの1枚1枚に真剣に向き合う姿に、初心を思い出させてくれました。
ちなみに仕事でNGを出されたことはありませんのでご依頼につきましてはご安心いただきますよう今後ともよろしくお願いいたします。

終了予定時間を1時間近くオーバーしてしまい、基本的な部分だけ伝えて好きに押してもらったほうがサクサク進んでもっと楽しんでもらえたかも…、2時間で板押しは無理があったか…と、いろいろと学びの多い時間になりました。良い機会をいただきありがとうございました。

当初箔押ししてもらう予定だった彫刻。見た目は映えるけど簡単。

(写真はお客様確認済みの物件のみ掲載しています。転載・転用は固くお断りいたします)