水酸化ナトリウムとクエン酸

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仏壇の汚れの主は、線香の煙による汚れと、その油煙による埃の付着。仏壇の洗濯のことを「煤抜き」と呼ぶ所以でもあります。

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洗浄に使う薬剤は苛性ソーダ。水酸化ナトリウムの油に作用する性質を利用して油脂分を落とします。汚れの状態に応じて希釈分量を変える(注水時の発熱に用心)。煤抜きのみの場合は、希釈した苛性ソーダを(金箔部分に直接触れないよう)まんべんなくかけ、すぐに水で流し落とす。しばらく放置したり、擦ったりすると金箔まで落ちてしまいます。

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金箔が漆(もしくは同等の箔押し剤)で箔押ししてある場合は、この程度で金箔が落ちることはありませんが、稀にニカワ系や弱い箔押し剤で箔押ししてある場合は、苛性ソーダをかけた瞬間に金箔まで落ちてしまう場合があるので、事前に目立たない部分で試して、使用箔押し剤の見当をつけることが重要です。

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今回、金具メッキ直しの予算と納期の余裕がなかったため、食用ソース(クエン酸)で落とすことに。完全に落ちるわけではありませんが、軽度な錆びであれば写真程度には落ちます。(ただし銅製金具に限ります)

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金箔の補修。部分的な箔押しですが、写真程度には違和感がないようになります。

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塗り部分を磨き直して、出来上がり。
分解と組み立ての手順に慣れが必要ですが、多少のDIYの心得さえあればご自分でも十分可能です。分解せず泡で洗浄する方法もあるようですが、仏壇内部の見えない部分には虫の死骸や長年の埃が堆積していますので、せっかく洗濯するならば分解して行う「煤抜き」をおすすめします。(できれば金具もメッキ直ししたほうが良いです)

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