割れた器は金継ぎで

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金継ぎ(きんつぎ)、金繕い(きんつくろい)と呼んだりします。
割れた陶磁器を小麦粉(グルテン)と漆を混ぜた「麦漆」で接着し、その接着跡を金箔や金粉で装飾する技法。なぜ小麦粉なのかと言いますと漆は常温高湿度により乾燥するので、割れを密着させる場合は湿気と酸素を内部に保持するための「つなぎ」が必要なんですね。グルテンのみ抽出して混ぜ合わせたほうが接着度は増しますが、粘りが強すぎて扱いづらくなる。
*接着面の噛み合わせ次第で、麦漆より後述する錆漆のほうが強度が高い場合があります。

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欠けている場合は錆漆(砥乃粉と漆を混ぜパテ状にしたもの)で成形。一気に盛ると内部が乾燥しない場合があるので数層にわけて形作ったほうがいいです。漆というものは乾燥に時間を要するものですが、一度乾燥し損ねると半永久的に乾燥しなくなったりするのでやっかいなのです。

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金継ぎされた器達は全て伊藤環の作品。伊藤くんの自宅に伺った際にいただいた、にゅう(焼成過程でのひび割れ)の入った失敗作の急須も、薄く溶いた錆漆を数回に分けて流し込んで、使うに支障のない急須になりました。

以上全て2009年頃に金継ぎし、他の食器と同じように洗い、特に気遣うことも無く4年経過。継ぎ目を装飾した金は薄ら剥がれかけてますが、継ぎそのものは丈夫なもんです。

伊藤環 : http://www.itokan.com