1. 木地から下地 (京型尺六 東)

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京型尺六仏壇。職人でいうところの尺六サイズとは壁框内寸の寸法です。既成仏壇でいうところの18号くらいでしょうか。外寸は、台幅63cm、総高150cm、奥行きは仏間に合わせて数センチ浅めに。(向壁は箔押し具合を見たいとの希望で先に仕上げてます)

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仏壇造りは分業。仏間寸法と仕様を元に木地師(金子仏壇木地製作所)に木地を発注。

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宮殿仕様は東。木地寸法を元に宮殿師(溝田製作)に宮殿を発注。宮殿と書いてクウデンと読む。

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西と東では宮殿の仕様が違う。特徴的な部分は、巴瓦と二重屋根、あとは中央部が抜けている事。向壁の中央部を西本願寺仕様よりも高めに塗り、箔押すことになります。

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宮殿と木地を採寸し彫刻師(松永大佛堂)に彫刻を発注。塗るのが勿体無いくらい。

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ここから塗師の仕事。
下地の最初の作業は布着せ(布張り)。寒冷紗を下地1号にてヘラですり込むように。
漆工芸の布着せは、隠蔽塗装による防水及び木地強化に主眼が置かれた本堅地(ほんかたじ)と呼ばれますが、仏壇の場合は経年による木痩せが表面に出ないようにする事と、継ぎ目の割れを防ぐ事が主な目的。

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接着剤を混合した砥乃粉下地を研ぐ。塗っただけでは布目が出るので、液状のものを二回塗りペーパーがけした上で、ペースト状ものをヘラ付け二回し、研ぎだします。

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戦前から1970年代までに作られたのものは、布着せのかわりに、和紙や新聞を胡粉で固めたものが多い。砥乃粉に比べ胡粉は粒子が細かいので保湿すると発散しにくく、保湿状態が続くと繋ぎのニカワも弱ってきます。特に台の部分は湿気の影響受けやすいので、表面は丈夫でも剥離してしまう原因になってることが多いです。

ここまでが下地。砥乃粉下地の質感は独特で美しいなと思うのですが………中塗り、上塗り、箔押しへ。

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