布張り。布着せとも言います。 本堅地の場合は木地に「こくそ」「木固め」などを施しておきます。 こくそ・木固めとはパテ埋めのようなもので、 木地の小口やはぎ切れなどを埋める作業です。 仏壇も同じような作業を施し布張りをします。
昔は布を貼るのに生漆(きうるし)と糊を混ぜたものを使っていましたが、 現在では「漆器用下地」とゆうペースト状の下地で、ヘラで木地にすりこむようにして貼っていきます。 布張りとゆう作業は木地の目ヤセやはぎ切れ・割れ防止に加えて、 仏壇の場合は、木地の継ぎ目補強などの目的があります。 そのため布は「紗」とゆう張力に強い布を使用します。 平面積の多い部分には「紗」を貼り、細かい継ぎ目などは和紙を貼っていきます(和紙張り・紙着せ)。
塗り替え修理の場合は、その程度にもよりますが大部分に布張り作業を必要とします。 仏壇を苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)で洗濯の後、 古い塗装部分を全てはぎ落とすわけですが、部分的にどうしてもはがれないところなどを 布張りで剥落を抑え下地を重ねていくことになります。 修理とゆうと40年以上は経っているものが多いので、木地もそれなりに痛んでおり、 ほとんどの部分に木地補修をし、布張り・和紙張り作業を施します。



漆器用下地

昔は漆50%砥乃粉50%で下地を作っていた。 製品化された漆器用下地はすでにその調合を済ませてあるもので、 いわゆる堅地(堅牢性にすぐれた下地の方法)の下地剤。 この下地剤は接着が強く堅いので研ぎにくく、 中塗りの段階で見つかった傷などもこれで埋めることがある。 他には漆器用黒下地とゆうものもあるんですが、 研ぎやすい分、接着が弱くもろいので、耐久性に欠けると思われます。 彫刻など複雑な木地のものは砥乃粉下地を使用します。

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塗りの工程--| 1.木地 | 2.布張り下地 | 3.砥乃粉下地 | 4.中塗り | 5.上塗り | 6.摺り漆 | 7.金箔押し |